旅で出会った少女
(↑ガヤのマーケットで出会った少年)
チベット料理店で働く16歳の少女。今年初めてブッダガヤ
に店をだした。
「初めてここに来て、何も分からなかったの。だけど誰も助けて
くれないわ。ここの隣の店もチベット料理。だけど誰も話しさえ
しようとしてくれない。理由なんて分からないけれど、多分新し
く来たからかしら?」
半年は、自宅があるダージリンで家族で経営している、レストラン
で働き、今年から半年はブッダガヤへ来る事になった。仮設テント
で作られた店内に、彼女はいつもお客さんを待って座っている。
彼女の仕事はウェイトレスだ。
家で手伝ってくれている料理人とマスターと一緒にブッダガヤ
までやって来て店を切り盛りする。
ブッダガヤの観光シーズンになる頃には、ダージリンからお母さん
が駆けつけてくるそうだ。でも、彼女以外は、誰もヒンディー語や、
英語をしゃべる事ができないので、彼女の負担の大きさは想像に難く
ない。
「私の自由時間はね。朝早く起きた時だけなの。でも疲れちゃうと
なかなか起きられないけれどね。」彼女の笑顔はどこか淋しさが漂う。
諦めているというのだろうか、達観しているのだろうか、彼女には
若々しさが欠如してしまっているのだ。
「私の友達はね、お化粧に1時間もかけるの。なんて言っても、友達
と最後に会ったのは何時だったかしら? 世界が変わってしまったから。
私はシンプルが大好き。1時間もあるなら、マーケットに行って野菜を
買って下ごしらえが出来る。顔に変な物を塗りたくるなんて意味がない
わ。
せっかく神様がくださった、美しい顔があるのに、なんで目の上や唇を
いろいろな色で塗りたくったりしなくちゃ いけないのかしらね。友達
は、とてもお洒落な洋服を着ているわ。今流行の足やお腹がちらっと
見えるちっちゃいやつ。だけどね。私はあれ大嫌いなの。テレビや映画の
中のスターは、綺麗な洋服を纏う事でお金をもらっているの。インドに
生まれた人が全員スターになれる訳じゃない。生活していたら、綺麗な
洋服は汚すのではないかって冷や冷やするし、変な男の人から声かけら
れて下品に思われることもある。良いことなんてないわね。」
彼女は話す事をやめない。
「時間さえあったら、私何でも出来ると思うのよ。だってカンボジア語
とタイ語 お客さんから少しづつ習ってちょっとなら話せるし、ヒンディ
ー語だって自力で勉強したんだから」
でも、そんな彼女を見てつい思ってしまう。彼女が望んでいなくても、
一度だけでもいいから、お化粧に1時間かけて、お洒落な洋服を着て、
普通の女の子らしく買い物やデートにでかけて欲しいなあと
「ママやお兄ちゃんが恋しいわ」ぽつり
初めて彼女が漏らした 弱音だった。
彼女がしていた携帯ストラップ。とっても可愛かったので誉めたら
同じ物を私にくれた。私はこのストラップをさっそく携帯につけた。
いつまでもいつまでも彼女の事を覚えておこうと思う。
たった16歳で世間と戦いながらも頑張って生きている彼女の姿を
- 2006.11.14 Tuesday
- 巷(ちまた)な人々
- 10:24
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- by mie