資本主義の弊害なんて書いたら大げさだけど♪

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    私にはインドのお兄ちゃんがいる。
    ある冬の日、道に迷ったときに偶然みつけたチャイ屋さん。
    喉が渇いていた訳ではないけれど、彼の目の美しさに引き寄せられる
    ように、一度通り過ぎたお店にもどって、チャイを飲むことにした。

    あれから5年。何度も通っているけれど、チャイ代を支払ったことは
    あれ以来一度もない。

    あの時の彼の目の美しさは忘れられない。
    お店とは名ばかりで、薄暗い一畳にも満たない空間に、彼は鍋と
    コンロとグラスだけ一家5人を支えていた。
    薄暗い空間にぽつんと彼は座っていたから、より、彼の目は美し
    く見えたのかもしれない。

    その後、彼のお父さんが亡くなったり、生まれたばかりの赤ちゃん
    が亡くなったり、お店が閉店危機にあったり、新しい場所を見つけ
    て再出発したり。また、新しい命が授かったりなどなど、幾度の
    困難や嬉しい出来事を重ねていった。

    最近、彼の言動がおかしかった。
    無精ひげを伸ばしてみたり、普段は口にしない愚痴をこぼす様に
    なったり、美しかった彼の目も、なんだか曇ってきたかのように
    感じるようになった。

    前回、彼のチャイを飲んだとき
    正直、不味いと思った。

    2度目に出てきたスペシャル チャイ 
    今度は、前の味に戻っていた。
    だから、たまたま出がらしに当たってしまったのだろうか。と
    あまり気にもとめていなかった。

    そして、今回出された彼のチャイ。 やっぱり不味かった。

    インドは年々物価が上がっている。
    まず値段の高くなった、カルダモン(チャイには必要なスパイス)
    を抜くようになった。
    次に、紅茶の葉を安い葉に変えた。
    デリバリー用に使っていた、グラスの他にプラスチックのグラス
    を用意して、デリバリー用のチャイは値段を吊り上げた。

    「ミー まじめさは幸せを呼ばない。お金は幸せを呼ぶんだ」

    ついにこんな事を口にするようになった。
    こんな小さな路地の小さなチャイ屋さんですら。。。。。。。

    私が惚れたチャイは
    彼がいろいろ試した中で、おいしいと判断したブランドの葉
    で作られ、彼の絶妙なマサラのバランスと甘さで引きたてられ
    た味だったのに

    時々、私と話込んでしまって、チャイをデリバリーする事を
    忘れることはあったけれど、彼はいつもできたての温かいチャイを
    そのまま届けるべく、インドの人にはめずらしく、いつも横道を
    小走りで奮闘していた。
    グラスがなくなっては、慌てて取りに行っては洗って、取りに行って
    は洗って使っていた。

    でも今は、作ったチャイをそのままにして、
    「あそこの人たちは、30分後に僕の作ったチャイを飲むこと
    もあるんだ だから 慌てて届ける必要がないんだ」
    と、ぐずぐずしている。

    あああああああ。

    お金が幸せを生む。これは、まぎれもない事実だと思う。
    だけれど、彼のチャイはお金では買えない真心がたっぷり
    つまっていた。 ちょっと大げさだけれど、職人の味がした。

    でも、そんな彼の職人魂を、いったい誰が奪ってしまったの
    だろうか?

    「前までの質のチャイを出すには値上げをしないとやっては
    いけない。でもね、値上げをしたらこの界隈ではやっては
    いけない。ミーどうすることもできないんだよ。他のお店
    のチャイと変わらないんだって。」

    需要と供給。
    デリーは今寒い冬。
    温かいチャイが飛ぶように売れる時期。

    夏になったら、彼は生き残れるのだろうか?
    不味くなった彼のチャイ。いったい誰が飲んでくれるの
    だろうか?
    杞憂にすぎないといいのだが。。。。。。。。。

    もう一度、あの頃の彼に会いたい。


    コメント
    日本時間でギリギリだが、インド時間ならまだセーフ。お誕生日おめでとう!インドは今揺れ動き始めているのかなあ。インドはあまりに大きく、深く、日本にいる俺が語ると陳腐かも知れないけど、その彼は資本主義でも社会主義でもいずれそうなったかも。でも、またいつか気づいて元に戻ってくれそうな気も。
    • ズビ
    • 2007/01/24 12:02 AM
    >ズビどの

    いやあ、また1つ年を重ねてしまいました。
    お誕生日メッセージどうもありがとうね

    なんだろう。多分私がインドが好きな理由って、そこに
    あったんだよね。
    お金では買えない真心。これって、下町っ子育ちの私は
    幼いころすごく温かい環境で育って、それが消えていく
    有様をまじまじと見ているから、同じような匂いがデリー
    でもし始めたというか。なんというか。
    需要と供給。人々がそれを気にとめない 需要があるん
    だから 別に間違っていない。確かにそうなんだけれど
    なあ。

    最近のインドのホテル事情も、私には理解が出来ない。
    需要があるから 値段が高くなるのはしょうがないの
    かもしれないけれど、値段をあげるならあげるなりの
    サービスを望んでしまう。タイのホテルに比べてインド
    のホテルはファシリティはボロボロなのに値段が高い。
    これが許されるっていうか 恥ずかしいと思えないインド
    人って 私には理解が出来ないんだよね。つまるところ
    ビジネスにはホスピタリティなんて必要されていないの
    かもしれないけれど、私はそんな世知辛い世の中って
    嫌だなあ。 

    • mie
    • 2007/01/25 4:59 PM
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